2010年5月10日月曜日

土光敏夫氏の教え

会議は2時間まで 立って!
社員に重荷を負わせて鍛える「重荷主義」。〈重要な仕事を与えられれば、人は自然に精鋭になる〉(『経営の行動指針』)

『経営の行動指針』より

【1】社員は三倍働け!幹部は十倍働け!(頭脳)

* 幹部はえらい人てはなく、つらい人だと知れ!(責任)
* 活力=知力+(意力+体力+速力)

【2】経営の活気は、ビジョンや目標を高く掲げることである。

* 共通の価値観で結ばれる=創造的精神+変化への対応

【3】変化に挑戦しうる人(=期待される社員像)

1. 頭脳を酷使する人
2. 先を見て仕事をする人
3. システムで仕事の出来る人
4. 仕事のスピード(タイミングも)を重んずる人
5. 仕事と生活を両立出来る人

【4】組織は上下ではなく、丸い円を考えよ。

* 挑戦(チャレンジ)と責任(レスポンス)で活力を。
* 相互信頼(契約の思想)

【5】信頼される人の行動基準

1. 相手の立場で、ものを考える。
2. 約束をきちんと守る。
3. 言行を一致させる。
4. 結果をこまめに連絡する。
5. 相手のミスを積極的にカバーする。

【6】権限委譲論→権限形成論

* 権限は、フルに行使するもの。
* 権限は、使いきるもの。
* 権限は、創り出すもの。

【7】権力は捨てさり、権威は集めよ。

* 権威とは、内から自然に身についていくもので、実力と人格からにじみでるもの。

【8】上からの情報や命令は、各段階でそしゃくして下へ

* トップ 目的(結果の明示)
* エグゼクティブ目標(目的への戦略)
* ミドル 方針(目標達成のための方法)
* イッパン 手続。ルーチンワーク

【9】コミュニケーションを阻むもの。

* 依存心 誰かが伝えてくれるだろう。
* 横着心 ある程度まとまってから伝える。
* 老婆心 上に、この程度のことは、不要だろう。
* 同情心 悪い情報を上に伝えると気の毒だ。
* 優越感 自分だけが知っている。
* 部下のもつ情報=上司のもつ情報

【10】問題意識

* "あるべき姿"と"現在の姿"の差であるから、問題がないのは、恐ろしいことだ。

【11】意思決定は、最後には勇気の問題に帰着する。

* 決定が遅れる。   機会損失
* 書類山積   自信不足、迷い
* 再検討指示   逃げの手

※最後は一人で決断 60点でタイムリーな即決を。

【12】できない、むり、むずかしい...を排除

* 固定観念、惰性、自己防衛本能

【13】物事を成就させ成功させる力  能力+執念

* 能力(必要条件)とは、自信の高さと幅で、とことんまでやった経験のある人しか、自信は生まれない。
* 執念(十分条件)とは、くじけない気力。起動力、粘着力、浸透力、持続力等である。

【14】人材開発で重視するもの。

* 早期、重課、鍛錬主義

【15】『仕事の報酬は、仕事である。』

* そんな働きがいある仕事をあたえよ。

【16】人を使うこと

* 減点主義でなく、その人の長所をみて使え。
* 人の評価は、その時点時点で、見直しを行なえ。
* 上位者の判断決定が、その人の一生を左右してはならない。

【17】部下所有意識から部下借用意識に切り替えよ。

【18】上司の姿勢

1. 椅子にしがみつくな。部下を育てよ。
2. 自分自信を管理せよ。
3. 自らが体得せよ。
4. 部下と裸になって接せよ。
5. 声をかけよ。
6. リーダーシップは、上へも発揮せよ。
7. 現場を歩くこと。
8. 上司の後姿を部下は学ぶ。
9. おせじでなく賞めること。
10. 怒りでなく叱ること。

【19】専門職の養成と権威づけを!

* 社会的に通用するジョブタイトルが確立していない。
* 肩書が評価される風潮。
* 企業内で、専門職を養成し、権威づけること。

1. 専門職を尊重する気風を培う。
2. 誰が認める優れた人を任用する。
3. 専門職の意見は、最大限に尊重する。
4. 待遇も手を打つ。一流なら重役を越えても可。

【20】教育はチャンスにしかすぎない。

1. 生かすも殺すも本人の自主性次第
2. 活力や創造力は高度な能力
3. これは外から付加できない。
4. 自分で高めるしか方法はない。

【21】スペシャリティの勉強

1. 専門領域中心+隣接領域+関連領域
2. ジョゼフ.バジールの『人間回復の経営学』 専門技術25%、革新的創造力 25%、教養50%
3. 穴を深く掘るには幅がいる。

【22】システム的思考

1. 無数のサブシステムからトータルシステムへ。
2. 何ができるかではなく、何をなすべきか?(目的目標)
3. 能率(時間内の仕事量)から効率(消費と仕事量)へ
4. 合理化は改善より除去からはじめよ。
5. コストダウンは生産だけでなく、営業や本部から。

【23】書類はいくら積み上げても業績とは関係ない。
※ペーパーレスで、考えることを命令。

1. 必要性より惰性で作られる書類
2. こまかすぎて時間と経費のかかる書類
3. 上役のために、周到に準備される書類
4. 上役の決断や勇気の代用品としてつくられる書類
5. 好奇心や趣味を満足させるための書類

【24】実績は予算と一致すべきである。

【25】営業幹部は前線にはりつけ。

1. 会社へ出勤より、得意先へ出勤
2. 電話で部下に指示
3. 製品のクレームをつけよ。顧客の代弁者
4. 本部は、前線をふりむかせるな!
5. 自社製品のメリットを探求せよ

【26】賃金を抑えるのでなく、人件費を抑える。

【27】真の知は行に一致し、正しい行は果に一致するはずだ。

【28】人は説教では動かぬが、自らが実行すれば動く。

【29】議論は常に前向きであれ。

【30】面壁一生(毎日見つけ、押し、ぶつかり、破り、進む。)


ミスター合理化、財界の荒法師、行革の鬼
  土光敏夫[どこうとしお]  http://success.hoyu.net/doko.htm
  (1896〜1988)
  岡山県生まれ。1920年(大正9)に東京高等工業学校(現、東京工業大学)機械科を卒業し、技術志向が強い民間造船所のパイオニア、東京石川島造船所に入社。50年に、大赤字、給料遅配、スト続きでくるしむ石川島重工業の社長として復帰、役員の降格から手をつけ「ミスター合理化」とよばれるほどの経営合理化で再建をはたした。60年に、石川島重工業は播磨造船所と合併して石川島播磨重工業(IHI)が誕生、土光が社長に就任。64年からは会長となる。
1965年、業績低迷の東京芝浦電気(現、東芝)の社長をひきうける。72年からは会長となった。1968年に経団連副会長、74〜80年に第4代経団連会長をつとめた。

1. 土光敏夫の世界 / 猪木正実[他]. -- 日本文教出版, 2009.2. -- (岡山文庫 ; 258)
2. 財界人の企業家活動 / 太田雅彦. -- 法政大学イノベーション・マネジメント研究センター, 2007.3. --
(Working paper series ; no.32)
3. 土光敏夫の哲学 / PHP研究所. -- PHP研究所, 2002.6
4. 信念の人土光敏夫 / 堀江義人. -- 三心堂出版社, 1999.6
5. 厚重の人土光敏夫 / 感性文化研究所. -- エモーチオ21, 1997.2. -- (Moku books)
6. 土光敏夫語録 / ソニー・マガジンズビジネスブック編集部. -- ソニー・マガジンズ, 1997.6
7. 土光敏夫質素の哲学 / 宮野澄. -- PHP研究所, 1997.3. -- (PHP文庫)
8. 無私の人・土光敏夫 / 上竹瑞夫. -- 講談社, 1995.3
9. 財界総理側近録 / 居林次雄. -- 新潮社, 1993.9
10. 土光敏夫次世代申し送りたく候 / 宮野澄. -- PHP研究所, 1993.8
11. 土光敏夫の生い立ちと素顔 / 松沢光雄. -- 山手書房新社, 1992.9
12. 土光敏夫21世紀への遺産 / 志村嘉一郎. -- 文芸春秋, 1991.4. -- (文春文庫)
13. 商魂 / 池田政次郎. -- 東洋経済新報社, 1990.9
14. 土光敏夫大事典. -- 産業労働出版協会, 1989.6
15. 土光敏夫の怒号が聞こえる / 志村嘉一郎. -- 日本経済通信社, 1989.5
16. 土光敏夫21世紀への遺産 / 志村嘉一郎. -- 文芸春秋, 1988.1
17. 正しきものは強くあれ / 宮野澄. -- 講談社, 1986.12. -- (講談社文庫)
18. 土光さんから学んだこと / 本郷孝信. -- 青葉出版, 1984.9
19. 総理を叱る男 / 上之郷利昭. -- 講談社, 1983.4
20. 正しきものは強くあれ / 宮野澄. -- 講談社, 1983.2
21. 私の履歴書 / 土光敏夫. -- 日本経済新聞社, 1983.2
22. 土光敏夫人望力の研究 / 若林照光. -- PHP研究所, 1983.12. -- (PHP business library)
23. 土光のおじさま / 金田洋子. -- 大正出版, 1983.7
24. 人間土光敏夫 / 東京書店編集部. -- 東京書店, 1983.4
25. 土光敏夫の経営哲学 / 笠間哲人. -- 山手書房, 1980.6
26. 土光敏夫 / 榊原博行. -- 国際商業出版, 1976. -- (評伝シリーズ ; 4)
27. 人間研究・土光敏夫 / 池田政次郎. -- 講談社, 1975
28. 全社員挑戦せよ / 秋元秀雄. -- ダイヤモンド社, 1968. -- (エグゼクティブ・ブックス)